"Sacred
Moments - Reflections on Ministry Through Translation and Loss"
『聖なる時を生きる - 通訳奉仕と葬儀における牧会の思索』
牧会者の日々は、予期せぬ出来事と計画された責務が交錯する中で展開していきます。バッハの音楽理論に関する学術的な講演の通訳準備と、突然の葬儀執行という二つの重要な務めが重なった二週間の経験は、教会における奉仕の多面性を鮮やかに映し出しています。
「レトリックとJ.S.バッハのトッカータニ短調BWV565における音型理論」という専門性の高い講演の翻訳作業は、大泉姉妹の助力を得ながらも、一週間以上の集中的な取り組みを必要としました。その最中に訪れたMさんの召天は、牧会者としての柔軟な対応を求める出来事でした。しかし、これらの務めは決して単なる仕事の重なりではなく、むしろ教会共同体の豊かさを示す機会となりました。
特筆すべきは、佐藤長老による葬儀プログラムの担当という新しい展開です。これは単に業務負担の軽減以上の意味を持ちます。長老たちによる牧会支援は、教会の成熟と協働の証しとなったのです。
Mさんの信仰の歩みは、神の導きの不思議さを示しています。配偶者の勧めによって始まった教会との関わりは、最後には家族全員での教会訪問へと導かれ、キリスト教葬儀という形で結実しました。特に、入院中に命の御言葉を伝える役割を担われたことは、深い意味を持っています。
キリスト教葬儀の本質は礼拝にあります。これは故人を祭るためではなく、神を礼拝し、遺族を慰め、故人の霊を神に委ねる聖なる機会です。礼拝後の交わりの時は、遺族の心の癒しに寄与する重要な要素となりますが、それは状況に応じて柔軟に対応されるべきものです。
この経験は、教会における様々な奉仕が、互いに支え合いながら神の栄光を現す機会となることを教えています。そして何より、遺族に寄り添い、彼らの必要に応える柔軟さを持ちながら、信仰の本質を保持することの重要性を示唆しているのです。
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