共に生きる

 

「Biblical Perspectives on Poverty and Stewardship: From Ancient Wisdom to Modern Practice」

「貧困への視点と管理 ―― 聖書の知恵から現代の実践へ」

 

貧困という現実は、時代を超えて人類が直面し続けている課題です。聖書は、この現実に対して極めて実践的な知恵を私たちに示しています。興味深いことに、聖書は貧困のない理想郷を描くのではなく、むしろ共に生きる共同体の在り方を具体的に教えているのです。

 

「貧しい人を憐れむ者は主に貸す」という箴言の言葉には、深い意味が込められています。ヘブライ語で「ダル」と表現される貧しい人々は、単に物質的な欠乏だけでなく、生きる希望さえも失いかけている人々を指しています。そして神は、そのような人々の保証人として立たれるのです。

 

旧約聖書には、この原理に基づいた具体的な制度が記されています。申命記に見られる三年目の十分の一の献げ物は、レビ人や寄留者、孤児、寡婦のための具体的な支援制度でした。また、収穫の際に畑の隅を残すという制度は、社会的弱者への配慮を日常の営みの中に組み込んだ知恵であったと言えます。

 

この古代の知恵は、現代の私たちの教会生活にも深い示唆を与えています。最近、私たちの教会で起きた出来事がその良い例となるでしょう。猛暑の中で教会の芝生の管理に献身的に関わってこられた佐藤長老の働きに対して、長老会は人命を第一に考え、芝生を砂利に変更する決定を下しました。

 

一見、これは単なる施設管理の判断に見えるかもしれません。しかし、この決定の根底には「人が大切である」という聖書的な価値観が息づいています。貧困者への配慮を命じた聖書の教えと同様、私たちも共同体の一人一人の命と健康を最優先する決断を下したのです。

 

このように、古代イスラエルの社会制度に見られる知恵は、形を変えながらも、現代の教会共同体の中で生き続けています。収穫の季節を迎えるこの時期、私たちは改めて「共に生きる」という聖書の教えの深さを思い起こしたいと思います。それは、単なる理想ではなく、具体的な行動を伴う生き方なのです。