『喜び』の栄養学――こころとカラダが輝く食事の秘密

 

 

私たちが日々感じる「喜び」という感情には、心の持ち方や生活環境だけでなく、身体の中で起きている科学的な働きも大きく関わっています。その鍵を握るのが“幸せホルモン”とも呼ばれる神経伝達物質「セロトニン」です。セロトニンは脳内で働き、気分を安定させ、不安やストレスを軽減し、ポジティブな感情——つまり「喜び」を生み出す役割を担っています。では、セロトニンを増やし、毎日の生活に喜びを育むにはどうすれば良いのでしょうか。

 

セロトニンを増やすには?

セロトニンの原料となるのは「トリプトファン」という必須アミノ酸です。さらに、セロトニンの合成には「ビタミンB6」や「マグネシウム」などの栄養素も不可欠です。トリプトファンは体内で作ることができないため、食事から摂取する必要があります。多く含まれる食品には、バナナ、乳製品(ヨーグルト・チーズ)、ナッツ類(アーモンド・クルミ)、大豆製品(豆腐・納豆)、魚、牛乳、卵などが挙げられます。

ビタミンB6が豊富なのは鶏肉、鮭、バナナ、アボカド、ピスタチオなど。

マグネシウムはカシューナッツ、かぼちゃの種、ほうれん草、玄米に多く含まれています。

 

毎日の食事で「喜び」を取り入れるコツ

健康的な心をつくる食事は、実はシンプルです。朝食にヨーグルトとバナナをプラスしたり、おやつにナッツを選ぶ、小鉢に豆腐や納豆を加えるだけでも、セロトニンの材料がしっかり補給できます。また、ビタミンB6はさまざまな野菜や果物にも含まれているので、副菜やサラダに彩りを添えることもおすすめです。「無理なく続ける」ことが、体も心も喜びで満たす秘訣です。

 

「感謝して食べる」ことでよろこびは深まる

食事は単なる栄養補給ではなく、心の栄養にもなります。感謝して味わう習慣が、さらに喜びの感覚を増幅させることが分かっています。近年の脳科学研究では、「ありがとう」の気持ちを持つと、脳が多くのセロトニンを分泌することが報告されています。

たとえば、毎食前に食材や作ってくれた人に「ありがとう」と心で祈る、そんなひと手間が幸福感を高め、「いただきます」「ごちそうさま」もまさに心を豊かにする言葉です。

 

信仰と「喜び」の食卓

キリスト教の聖書には「聖霊の九つの実」と呼ばれる美徳があり、その一つが「喜び」です(ガラテヤ5:22)。私たちが日常で喜びを感じ、分かち合うことは、ただの感情ではなく、神から与えられた素晴らしい賜物だとも言えます。健康的な食事で心と体を整え、感謝と信仰の心を込めて食卓につくことで、私たちの喜びはさらに深く、豊かなものとなります。

 

今日の一食一食を、「心と体の喜び」を育む大切な瞬間として過ごしてみてください。簡単な意識と小さな習慣が、明日をもっと明るく、希望あふれる一日に変えてくれることでしょう。

 

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