午前3時のランナーズハイ。月と太陽が主役を交代する、31kmの物語
まだ世界が深い眠りについている、午前3時20分。
玄関のドアをそっと開けると、ひんやりと澄んだ空気が肌を撫でる。気温は21度。ランナーにとって、これ以上ないほどの贈りものだ。
漆黒の静寂に、自分の足音と呼吸だけがリズミカルに響く。今日の伴走者は、煌々と輝く満月。まるで巨大なスポットライトが、私だけのために道を照らしてくれているかのようだ。
月が見守る道、そして夜明けのバトンタッチ
そんな最高のコンディションに後押しされ、今日の旅は31キロに及んだ。今週の累積走行距離は110キロ。さすがに少し走り込んだので、来週は体を労って距離を減らそうと、自分自身と約束する。
走り続けるうち、不思議な感覚に包まれる。
あれほど強く輝いていた月が、東の空から滲み始める優しい光に、そっと主役の座を譲っていく。暗闇が次第に薄れ、世界の輪郭がゆっくりと現れる。夜がその役割を終え、昼へと静かにバトンを渡す瞬間だ。
この役割交代は、なんて完璧なのだろう。
夜には、生きとし生けるものすべてを深く休ませる役割がある。
そして、昼には、太陽の光と共に、すべてをエネルギッシュに活動させる役割がある。
この壮大で完璧な自然の循環は、すべての生き物のためにデザインされた「法則」なのだと、走るたびに教えられる。そして、その偉大な法則を定めてくれた存在がいることを、日常の喧騒の中では忘れてしまいがちだけれど、この瞬間、確かに感じることができる。
太陽の光は、心と体への最高のギフト
やがて昇り始めた太陽の光を全身に浴びて、一日の本当のスタートを切る。この感覚が、たまらなく好きだ。細胞の一つひとつが「おはよう!」と声をあげて目覚めていくような、力強いエネルギー。これが、体も心も豊かに満たしてくれる、最高の秘訣なのだ。
走り終えた体に、朝の光が降り注ぐ。
31キロという長い道のりは、単なるトレーニングではない。
それは、月と語り、太陽に挨拶し、自然という大きな法則の中で自分が「生かされている」ことを確認する、神聖な儀式のようなもの。
あなたも、ほんの少しだけ早起きして、窓の外を眺めてみてはいかがだろうか。
そこには、夜と朝が織りなす、息をのむほど美しい物語が広がっているはずだから。
コメント
コメントを投稿