30キロの充実感と、明日の休息

 


30キロの充実感と、明日の休息 ~「ちょうどよい」を手に入れる技術~

明日休むから、今日が輝く

今日は30キロを完走しました。

いつもと違ったのは、「明日は休む」と決めていたこと。不思議なもので、この決断が今日のランニングをより充実したものにしてくれました。走りながら、休息の大切さを改めて実感しています。

人生の質を決める「ちょうどよい」のバランス

人間の営みには「ちょうどよい」というバランスが極めて重要です。これは豊かな人生のために欠かせない要素だと言えるでしょう。

多くの場合、物事が駄目になるのは「やりすぎ」が原因です。

  • 美味しいものを食べることで幸福感が得られる。でもいくら美味しくても食べすぎると、幸福感よりも後悔が大きくなる。
  • ちょうど良い距離を走るとドパミンが出て達成感が得られる。でも走りすぎると苦しみと痛みが伴い、後悔する。
  • 遊びも同じ。楽しいはずの時間が、やりすぎれば虚無感に変わる。

問題はこのバランスをどうやってうまく調節するのか、です。

簡単ではありませんが、不可能なことでもありません。つまり、努力すればできるということです。


「ちょうどよい」で終われる人になるための7つの方法

1 。事前に「終わり」を決めておく

最も効果的な方法は、始める前に終わりを設定することです。

  • ランニングなら距離や時間を決める
  • 食事なら皿に盛る量を最初に決める
  • 遊びなら「〇時まで」と時間を設定する

ポイント:「もう少し楽しみたい」と思える8割で終わる設定にする。満腹の一歩手前で終えるのが、最高の満足感を生みます。


2。「明日もある」を意識する

私の今日のランニングがそうでした。

明日休むと決めていたからこそ、今日を全力で楽しめました。

これは逆説的ですが、「また次がある」と思えると、今を無理なく終えられます。

  • 「このお店はまた来られる」
  • 「このゲームは明日も遊べる」
  • 「このドラマは明日続きを見られる」

終わりは終わりではなく、次への橋渡しです。

3。「余韻」の価値を知る

最高の瞬間は、実は体験の最中よりも「余韻」の中にあります。

もう少し食べたかった、もう少し走りたかった、もう少し遊びたかった――この「もう少し」の感覚こそが、心に残る幸福感の正体です。

満腹まで食べてしまうと、余韻ではなく胃もたれだけが残ります。


4。身体の「最初のサイン」を見逃さない

人間の身体は賢く、「ちょうどよい」のサインを送ってくれています。

  • ランニングなら「少し疲れたかな」という最初の感覚
  • 食事なら「78割満たされた」という感覚
  • 仕事なら「集中力が少し落ちてきた」というサイン

問題は、私たちがこのサインを無視して「もっと、もっと」と続けてしまうことです。

最初の小さなサインに気づき、従う習慣をつけましょう。


5。 記録をつけて「パターン」を知る

自分の「やりすぎライン」は、記録をつけることで見えてきます。

  • 何キロ走ると翌日痛むのか
  • どのくらい食べると後悔するのか
  • 何時間遊ぶと虚しくなるのか

データが溜まると、自分だけの「ちょうどよい基準」が明確になります。


6。 環境を味方につける

意志の力だけに頼らず、環境を設計しましょう。

  • 小さめの皿を使う(自然と食べる量が減る)
  • タイマーをセットする(時間が来たら終わる仕組み)
  • 友人と約束する(終わりの時刻を強制的に作る)
  • スマホを別の部屋に置く(ダラダラ続けられない)

「やめる」を決断するのではなく、「自然と終わる」仕組みを作るのです。


7。「足るを知る」練習をする

これは習慣です。筋トレのように、繰り返すことで強くなります。

実践方法:

  • 週に一度、意図的に「もう少し楽しみたい」ところで終える練習をする
  • 終えた後の満足感を味わい、心に刻む
  • 「やりすぎた」時と「ちょうどよかった」時の感覚の違いを記録する

最初は難しくても、回数を重ねるごとに「ちょうどよい」で終えられる自分になっていきます。


古の知恵が教えてくれること

腹八分目――日本の先人たちは、このバランスの重要性を知っていました。

仏教の「中道」という考え方も同じです。苦行でもなく、快楽に溺れるでもなく、その中間の道を歩む。聖書も次のように語っています。Ⅰコリント 612節ですが、

「すべてのことが私には許されている。しかし、すべてが益になるわけではない。」

ランニングの世界でも「オーバートレーニング症候群」という言葉があります。頑張りすぎは、頑張らないことよりも害になることがあるのです。


結論:幸福は「足し算」ではなく「引き算」の中に

私たちは「もっと、もっと」と足し算で幸福を求めがちです。

でも本当の幸福は、ちょうどよいところで「引く」技術の中にあります。

今日の30キロが充実していたのは、明日休むと決めていたから。

料理が美味しく感じられるのは、満腹になる前に終えるから。

遊びが楽しいのは、疲れ果てる前にやめるから。

「まだできる」「もう少しいける」という余力を残して終える。これが、充実感と幸福感を最大化する秘訣です。

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