「マクチェイン聖書通読について」
スコットランドの敬虔な牧師、ロバート・マレー・マクチェイン(Robert Murray
McCheyne, 1813-1843)が作成した聖書通読表は、多くのクリスチャンに影響を与え続けている傑出したプランです。
マクチェイン牧師の聖書通読表に込められた思いと目的
マクチェイン牧師は、わずか29歳で天に召されたにも関わらず、彼の情熱的な信仰と牧会は多くの人々に影響を与えました。彼が教会員のために聖書通読表を作成した背景には、彼の深い牧会的配慮と、聖書が持つ力に対する確固たる信仰がありました。
- 教会員の霊的成長の促進: マクチェインは、信徒が聖書を体系的に読むことによって、より深く神を知り、イエス・キリストの恵みを体験し、霊的に成長することを強く願っていました。聖書を「毎日読む」という習慣は、信仰生活の土台となると考えたのです。
- 信仰の定着と規律: 当時、多くの人々は聖書を断片的に読むか、全く読まないこともありました。マクチェインは、定められた計画に従って聖書を読むことで、規律正しい信仰生活が確立され、信仰が揺らぐことなく定着することを期待しました。
- 聖書の全体像の理解: 聖書は壮大な物語であり、その全体像を理解することが重要であると彼は考えました。彼の通読表は、旧約と新約、そして詩篇を並行して読むことで、聖書全体のメッセージと神の救いの計画を総合的に捉えられるように工夫されています。
マクチェイン聖書通読表の構成
マクチェインの聖書通読表は、1年で旧約聖書を1回、新約聖書を2回、詩篇を2回読むことができるように設計されています。この独特な構成は、日々の読書箇所が以下のように4つの異なるセクションから成るという特徴を持っています。
- セクションA: 旧約聖書(創世記から順番に)
- セクションB: 新約聖書(マタイから順番に)
- セクションC: 旧約聖書(エズラ記あたりから再び順番に)
- セクションD: 新約聖書(使徒の働きあたりから再び順番に)
つまり、毎日4つの異なる箇所から聖書を読むことになります。
なぜそのような構成にしたのか?
この複雑に見える構成には、マクチェイン牧師の深い洞察と意図が込められています。
- 新約聖書と詩篇の反復読書の重要性:
- 新約聖書2回: イエス・キリストの福音と使徒たちの教えは、信仰生活の中心であるため、旧約よりも頻繁に読むことが重要だと考えました。福音書と手紙を年2回読むことで、神の恵みと愛、そしてキリストの教えが心に深く刻まれることを意図しています。
- 詩篇2回: 詩篇は、祈り、賛美、嘆き、悔い改めといった人間のあらゆる感情が神に向けられている書です。年2回読むことで、信徒が祈りの言葉を見つけ、感情を神に捧げる方法を学び、礼拝生活を豊かにすることを目的としています。
- 旧約聖書の全体像とキリストの影:
- 旧約聖書を年1回読むことで、イスラエルの歴史、律法、預言を通して、神の選びと救いの計画の壮大さを理解できます。
- セクションAとセクションCが異なる箇所から始まることで、異なる視点から旧約聖書全体を見渡すことができ、旧約の中に隠されたキリストの影(型)を発見しやすくなります。
- 視点の多様性による飽き防止と新鮮さ:
- 毎日4つの異なる箇所から読むことで、単調さを避け、飽きることなく聖書通読を続けられるように工夫されています。例えば、律法の記述の後に福音書の恵みの言葉を読むことで、聖書全体に流れる神の義と恵みのバランスを体験できます。
- 異なる視点から聖書を読むことで、新しい発見や深い洞察を得やすくなります。
マクチェイン牧師は、この聖書通読表を配布する際に、「毎日聖書を読むことは、霊的な健康と成長のために不可欠である」と強く訴えました。彼の通読表は、信徒が聖書を日々の糧とし、神との交わりを深めるための、具体的な実践ツールとして今もなお愛され続けています。

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