悩まない人生を

 


だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。」(マタイによる福音書634節)

 

🧠 なぜ人間は「起こりもしないこと」を恐れるのか

人間の脳には、進化の過程で刻み込まれた**「生き残るための生存本能」**が備わっています。

1. ネガティブ・バイアス(生存本能)

太古の昔、草原でガサガサと音がしたとき、「風だろう」と楽観視した人は猛獣に襲われ、「敵だ!」と怯えた人が生き残りました。その結果、私たちの脳は**「良いニュースよりも、悪いニュース(脅威)」に10倍敏感**に反応するように設計されています。

2. 利用可能性ヒューリスティック

人間は「思い出しやすい情報」を「発生確率が高い」と錯覚する性質があります。テレビで繰り返し「がん」や「老後の破産」のニュースを見ると、統計的な確率以上に「自分にもすぐそこまで迫っている」と感じてしまうのです。

3. 損失回避の法則

私たちは「1万円を得る喜び」よりも「1万円を失う痛み」を2倍近く強く感じます。保険会社はこの**「失うことへの過剰な恐怖」**に焦点を当て、「失わないための安心」を商品として売るのです。


🛡️ 不安を煽る宣伝の「とりこ」にならないための4つの方法

宣伝や情報の渦に飲み込まれず、心を平安に保つための実践的なアプローチです。

「統計的思考」を身につける

広告の「人に1人が」という言葉は、分母や背景が隠されていることが多いものです。

  • 実践: 「その確率は、今日交通事故に遭う確率より高いのか?」と比較してみる。また、日本の公的保険制度(高額療養費制度など)でカバーできる範囲を正しく知るだけで、過剰な不安の多くは解消されます。

「情報ダイエット」の実行

テレビやSNSの刺激的な見出しは、視聴率や契約を取るための「感情の釣り針」です。

  • 実践: 不安を煽る番組や広告を意識的に遮断します。情報を入れる「量」ではなく「質」を選び、スマホを置く時間を作ることで、脳の「扁桃体(不安を司る部分)」を鎮めることができます。

「コントロールできること」だけに集中する

不安とは、常に「未来」の「自分ではどうしようもないこと」を考えるときに生まれます。

  • 実践: ローマ時代の哲学者エピクテトスが説いたように、「自分で変えられること(今日の健康、目の前の仕事、人への親切)」と「変えられないこと(未来の病気、天災)」を明確に分けます。後者は「その時が来たら考えよう」と棚上げする勇気を持つことです。

「背後の守り」を信頼する

私たちの人生には、目に見える数字や保証を超えた**「大きな導き」**があります。

  • 実践: どんなに保険をかけても、人生のすべてのリスクをゼロにすることは不可能です。むしろ「どんな嵐が来ても、その風に乗って飛ぶ翼(信仰や知恵)がある」と、自分自身の内側にある力を信頼することが、最強の保険になります。

📝 現代人へのメッセージ

「不安は、まだ起こっていない未来を、今、先取りして苦しむことです。 保険は『万が一』の備えかもしれませんが、 『九万九千九百九十九』の平穏な時間を、不安で塗りつぶしてはいけません。

本当の安心は、通帳の中や契約書の中ではなく、 『今日も生かされている』という感謝の心の中に宿ります。 煽られる情報のとりこになるのをやめ、 今、隣にいる人の笑顔や、今日食べる食事の味を大切にしましょう。」

 

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