二つの耳と、一つの感謝

 


二つの耳と、一つの感謝──2025年クリスマスイブの記録

雨の降る高速道路を、古川の病院へと車を走らせました。 祈祷会を終えたばかりの午後、心の中には静かな祈りが流れていました。 今日は、娘の手術の日。 「フルーツが食べたい」とのリクエストに応えて、古川のベニマルに立ち寄り、色とりどりの果物を手に病院へ向かいました。

 

午前中に行われたのは、「ガンマナイフ」という最先端の治療法による手術。 無事に終わったとの知らせを受け、心から感謝の思いがあふれました。 14時には担当医師からの説明会。画像を見ながら、丁寧に経過と今後の見通しについて話していただきました。

これからは経過観察の日々が続きます。 腫瘍が再び動き出さないことを祈りつつ、日々を大切に過ごしていくことになります。 ただ一つ、腫瘍の影響で、片方の耳の聴力は失われてしまいました。

 

病室に戻ると、娘が笑顔でこう言いました。 「神様は素晴らしいよ。だって、耳を二つつけてくれたんだもん。もう一つあるから大丈夫。」

その言葉に、私はしばらく言葉を失いました。 音楽が大好きな娘。 ステレオで音楽を聴くことが、どれほど彼女にとって大切だったかを思うと、胸が締めつけられました。 けれど、彼女は「失ったもの」ではなく、「残されたもの」に目を向けていたのです。 感謝することを選ぶ──その姿に、私は深く教えられました。

 

今日は一人で仙台に戻りました。 妻は病院近くのホテルに泊まり、明日、娘と一緒に帰ってきます。 車は車検のため、明日は高速バスでの帰宅になるとのこと。 慌ただしく、心も体も動き続けた一日でしたが、 忘れられない2025年のクリスマスイブとなりました。

 

この日を、私はきっと何度も思い出すでしょう。 それは、奇跡のような医療の進歩に感謝した日であり、 家族の強さと優しさに触れた日であり、 そして、「感謝を選ぶ」という生き方の美しさを教えられた日だからです。

 

神様は、私たちの人生に、時に試練を与えられます。 でもその中に、希望の種を必ず蒔いてくださる。 そして、私たちがその種を信じて育てるなら、 やがてそれは、勇気という芽を出し、生きる力という実を結ぶのです。

 

メリークリスマス。 すべての人に、神様の平和と慰め、そして新しい力が注がれますように。 今日という日が、あなたにとっても忘れられない一日となりますように。

 

コメント