フランツ・カフカは人間には二つの原罪があると言う。
それは性急の罪と怠慢の罪である。
“人間は性急したために楽園から追い出され、怠慢だったので楽園に戻れなかった。”
最初の人、アダムとエバが蛇の誘惑に対してもう一度神様が命じたことを考えて見たならばその善悪を知る木の実を食べなかったかも知れない。しかしもう一度考えることなく、蛇の言葉を聞いて直ちにその実を取って食べてしまった。もう一度考えることなしに性急に行動した結果、戦争や争い、事故や事件などが絶えず行われている。この人間の「性急さ」は神様が立てた秩序を破壊し、人間を地獄に連れて行くために悪魔が用いる最大な武器かも知れない。
人生という車にはアックセルと共にブレーキも取りつけられている。しかし多くの人はほとんどブレーキをかけずにアックセルばかり踏み続けているために自分の車にブレーキがあることさえも忘れている。
それである日、走り続けていることに気づき、突然、急ブレーキをかけて怪我をするのである。我々人類は現代文明と共に大事な「余裕」を失った。スピードばかり追求して走ってきたのだ。今もそれは変わらない。スピードが勝負であると信じ込んでいる。このままではいつか悪魔の思う通りに滅びるかも知れない。もう少し、ゆっくり走る人生の車にすべきである。でも今の世界をリードしている国々のほとんどがスピードを重要視し、ますます加速化させている。高速列車や飛行機や宇宙船はスピードがカギである。今のスピードの文明が強制的に取り上げられない限り、変わらない世界になるだろう。
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