2025年7月26日土曜日

『50代から始める暮らしの整え方』(桧垣濤作 著)

 


【人生の後半を「最高の季節」にするための、愛と感謝の整理術】

 

50代は、人生の「収穫期」であり、同時に新しい種をまく「備えの季節」です。本書『50代から始める暮らしの整え方』は、単なる片付けや断捨離のノウハウ本ではありません。人生の折り返し地点で、これまでの歩みを感謝をもって振り返り、これからの日々を神様から与えられた最高の贈り物として輝かせるための、心温まる「暮らしの神学書」と言えるでしょう。

 

著者の桧垣氏は、まず「モノの整え」から始めます。しかしその目的は、家を空っぽにすることではありません。一つひとつの品を手に取り、「これは神様からのどんな恵みの記憶だろうか」と問いかけることを提案します。使わなくなったモノには「今までありがとう」と感謝して手放し、本当に大切なモノだけを残す。この作業は、過去の自分を肯定し、執着から解放されるための、祈りのような時間となります。それは、聖書が教える**「天に富を積みなさい」(マタイ6:20**という教えにも通じます。地上のものではなく、本当に価値あるものに目を向ける生き方です。

 

次に本書は、「時間」と「人間関係」の整えへと読者を導きます。義理や見栄で費やしてきた時間や交友関係を見直し、自分の魂が本当に喜ぶこと、そして何より、家族や本当に大切な人との時間に集中することを優しく諭します。これは、神様から与えられた限られた時間を、愛を実践するために用いるという、キリスト者の本質的な生き方そのものです。

 

最終章で語られるのは、「心の整え」です。これまでの人生で経験した成功も失敗も、すべてが神様の壮大な計画の中にあったと受け入れること。そして、これからの人生を「自分のため」だけでなく、「誰かのため、神様のため」という新しい目的(ミッション)に捧げる喜びを教えてくれます。50代からの人生は「終活」ではなく、神様と共に歩む新しい冒険の始まり「始活」なのだと、本書は力強く、そして優しく背中を押してくれるのです。

 

【キリスト教的観点から】

本書は、聖書の教える「感謝」「手放すこと」「神への信頼」といった霊的な真理を、「暮らしを整える」という具体的で身近なテーマを通して見事に描き出しています。著者の温かい眼差しは、50代という転換期に特有の不安や喪失感に優しく寄り添い、それらを神様の恵みを受け取るための「心のスペース」に変える知恵を与えてくれます。

 

この本で語られる「整える」という行為は、単なる自己満足のための整理術ではありません。それは、祈りの中で自分の人生の棚卸しをし、神様との関係を再構築していく「霊的な訓練」です。モノや過去への執着を手放す作業は、神様が注ごうとしておられる新しい祝福を受け取るために、両手を広げて心を明け渡す信仰のステップそのものです。本書を手に取ることで、多くの読者が信仰者としての人生の後半を、より自由に、そして喜びに満ちて歩み始めるための、素晴らしいインスピレーションを受けることでしょう。

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