心を一つにする力

 


心を一つにする力 〜不安な時代だからこそ〜

木々が色づき始め、朝晩の空気に秋の気配を感じる季節となりました。こうした変わり目には、心が落ち着かず、漠然とした不安を覚える方もいるかもしれません。世界では対立や困難が絶えず報じられ、私たちの暮らしにも不安の種が尽きません。そんな時代だからこそ、「心を一つにすること」の大切さを改めて思います。

家庭、職場、地域社会、そして世界において、私たちの考え方は多様です。その違いが時に分断を生みますが、歴史を振り返ると、人々が心を一つにした時にこそ、大きな力が生まれ、新しい未来が開かれてきました。聖書にもその力が記されています。イエス・キリストが十字架にかかり復活された後、弟子たちは「地の果てに至るまで、私の証人となりなさい」との使命を託されました。しかし彼らは、悲しみと恐れに閉ざされ、エルサレムの小さな部屋に閉じこもっていました。



そんな彼らが最初の一歩を踏み出したのが、マルコの屋根裏部屋でした。そこに集まった約120人が「心を一つにして、ひたすら祈りに専念していた」と使徒行伝は伝えています。彼らは、イエス様を信じた女性たち、裏切った弟子たち、信じきれなかった兄弟たちなど、背景も関係性も異なる人々でした。それでも彼らが心を一つにできたのは、切迫した状況と、イエス様の「聖霊が下る」という約束を信じて祈り続けたからです。聖書は「兄弟たちが心を合わせて共にいることは、なんと良いことでしょう、なんと美しいことでしょう」(詩篇133:1)と語ります。

ここでの「良い」とは神の目的に沿うこと、「美しい」とは心が満たされる状態です。異なる人々が、共通の希望のもとに祈り続けた結果、聖霊が降り、彼らは力強く福音を宣べ伝え始めました。これが教会誕生の瞬間であり、キリストの愛と希望が世界に広がる転換点となったのです。私たちの日常にも、意見の違いや摩擦はあります。けれど、完璧な関係を築くことよりも、共通の願いや希望を見つけ、心を一つにして協力することが大切です。そして、自分の力ではどうにもならない時こそ、神様に祈り、助けを求めること。


神様は、私たちの弱さを知り、心を一つにして求める時に、必ず道を開いてくださいます。たとえ小さなグループでも、同じ思いを持つ人々が神の言葉に集中するならば、世界を変えるような新しい歴史が始まります。私たちも身近な人との関係の中で、共通の目標を見つけ、心を一つにして歩んでみませんか。祈りの中で神様とのつながりを深めるその一歩が、きっと大きな変化をもたらすことでしょう。神様の豊かな祝福が、皆様の上にありますように。

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