闇に輝く希望の光を待ち望む
― アドベントが告げる、主の到来 ―
本日より、私たちは教会暦における新しい一年、アドベント(待降節)の時に入ります。アドベントとは、ラテン語の「アドベンタス」(到来)に由来し、今から二千年前、この世に救い主としてお生まれになったイエス・キリストの最初の到来を覚え、そしてやがて再び来られる主の再臨を待ち望む、希望と準備の季節です。この特別な四週間、私たちの心は、主イエス・キリストの光によって照らされることを切に願う期間となります。
アドベントは、まさに「闇の中に光を待つ」季節です。一年で最も日が短くなり、寒さが深まるこの時期に、私たちは人類の歴史が長く深い闇の中にあった時代を思い起こします。人々が神の恵みから遠ざかり、罪と絶望の中にあった時、神は約束された救い主を送るという希望の御言葉を与えられました。その約束が、一人の幼子としてこの世界に現れたイエス・キリストによって成就されたのです。このアドベントの期間に私たちが灯すローソクの光は、まさにその希望の象徴です。一本また一本と灯されていく光は、キリストの光が世界を満たしていく様子を表し、私たちの心にも主の光が宿るよう招いています。
しかし、アドベントは単なるロマンチックな準備期間ではありません。それは、私たちが本当に待ち望んでいるものは何か、そしてその到来のためにどのように心と生活を整えるべきかを問い直す、深い霊的な時でもあります。私たちは、この世の様々な情報や物質的な誘惑によって、心が散漫になりがちです。クリスマス商戦の賑わいは、時に私たちを本来のクリスマスの意味から遠ざけてしまうかもしれません。しかしアドベントは、そうした喧騒から一歩退き、静かに自らの内面を見つめ、救い主を迎え入れるための心の準備をするよう私たちに促します。
初代教会の時代から、クリスチャンたちは主の再臨を待ち望んできました。それは単なる漠然とした希望ではなく、必ず実現する神の約束への揺るぎない信頼に基づいています。私たちもまた、日々の生活の中で、主イエス・キリストが再び来られるその日を意識して生きるよう召されています。使徒パウロはテサロニケの信徒たちに「あなたがたは、闇の中にいるのではなく、その日が盗人のようにあなたがたを襲うことはありません」(テサロニケの信徒への手紙一 5章4節)と語りかけました。私たちは闇の子ではなく、光の子として、主の到来を覚悟して生きるべきなのです。
では、私たちはどのようにしてこのアドベントを過ごすべきでしょうか。それは、祈り、聖書の御言葉に耳を傾け、隣人への愛の実践を通して、心を整えることです。
第一に、祈りです。 日々の忙しさの中で忘れがちな神様との対話を、この機会にもう一度大切にしましょう。静かな時間を見つけ、神様に心を注ぎ出し、その御声に耳を傾けてください。
第二に、聖書の御言葉です。 特に旧約聖書の預言の箇所や、新約聖書の福音書に記されているイエス様の誕生の物語、そして再臨に関する箇所を丁寧に読んでみましょう。御言葉は私たちの心の闇を照らし、希望を与えてくれます。
第三に、愛の実践です。 神は私たちを愛するゆえに、御子イエス・キリストを与えてくださいました。その神の愛に倣い、周囲の人々、特に助けを必要としている人々に目を向け、愛と奉仕の心を持って接しましょう。
アドベントは、私たちに「目を覚ましていなさい」と呼びかけます。それは、この世の儚いものに心を奪われることなく、永遠の希望であるイエス・キリストに心を向け、その光を自分の人生に、そして世界に迎え入れる準備をするということです。
このアドベントの時、皆様一人ひとりの心に、主イエス・キリストの真の平和と希望の光が豊かに灯されますよう、心からお祈り申し上げます。
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