デジタル書庫 ―― 祈りの旅路

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2026年6月25日木曜日

歯医者

 


🌙 記憶の中の鋭い痛みと、十字架が教えてくれる「荒削りな愛」

🍃 麻酔の感覚が呼び覚ました、遠い森の記憶

9時。 歯科医院特有の清潔な香りに包まれながら、治療台に身を預けました。 今日は奥歯の抜歯と、欠けた部分の埋め込み治療です。

「痛かったら言ってくださいね」 優しい声とともに麻酔が静かに効き始めると、無事に治療を受けられることへの感謝が胸に広がりました。

しかし同時に、口元がじんわりと麻痺していくあの独特の感覚が、 私の意識を遠いドイツの森へと連れ戻していったのです。

ハイデルベルクでの3年間の学びを終え、 帰国を1週間後に控えていた、あの日の出来事──

 


麻酔なしの抜歯と、荒削りな優しさ

私が暮らしていたのは、ハイデルベルクからバスで30分ほどの 森に囲まれた小さな街、ヴィルヘルムスフェルト。 人口3000人ほどの静かな村で、歯科医院も治療台が1台だけの小さな場所でした。

ある朝、耐えがたい虫歯の痛みに襲われ、 その歯科医院へ駆け込みました。

しかし受付で告げられたのは、 「歯の治療には別の保険が必要で、費用が高くなるかもしれません」という現実。

「実は、あと1週間で帰国するのです」 そう伝えると、女性の先生は私を別室へ案内し、 「事情はわかりました。任せてください」と言いました。

──何をどう任せるのか、説明はありませんでした。

治療台に座った次の瞬間、 彼女は助手とともに、なんと 麻酔なしで歯を抜いたのです。

想像を超える衝撃と痛み。 しかし、牧師である自分が取り乱すわけにはいかない。 私はただ、十字架のキリストを心に描きながら、その痛みに耐え抜きました。

今でも鮮烈に残る、忘れられない瞬間です。

 


🕊 痛みの奥に隠れていた、普遍的な真理

最新の麻酔技術に守られながら今日の治療を受け、 あの出来事を思い返すと、 そこには「乱暴さ」と「優しさ」が奇妙に同居していたことに気づかされます。

荒削りな愛

あの女性歯科医の行動は、決して洗練されてはいませんでした。 しかし、貧しい留学生を借金から守ろうとする、 彼女なりの荒削りな優しさが確かにありました。

苦しみを共にする方

十字架のキリストは、私たちの痛みを背負うため、 いかなる麻酔もなく、その道を歩まれました。 私の痛みは小さなものですが、 あの瞬間、私は確かに「十字架の痛みの端っこ」に触れ、祈ることができたのです。

人生には、麻酔なしで直面させられる痛みがあります。 しかしその奥には、 誰かの不器用な愛や、主が共に苦しんでくださる事実が隠れています。

 


🌙 日常という名の温かい恵み

二箇所の麻酔と治療を終え、 痺れた口元を抱えながら買い物を済ませ、家に戻りました。

今日は娘も早く帰宅するとのことで、ランチには「ナスのたたき」を作りました。 白いご飯が進むほど味が染み込み、 家族で囲む食卓の温かさに、何気ない日常こそ最大の恵みであることを深く噛みしめました。

二日連続の朝ランで、足には心地よい疲労が残っています。 今日は無理をせず、しっかり休息をとる一日にします。過去の痛みを思い返し、 今の恵みに感謝し、 明日への力を養う── これもまた、人生の大切な歩みです。

今日も、共に前進です。

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