夜の静けさを深く包み込むように、雪がしんしんと降り続けている。家々の窓の明かりも、街灯のオレンジ色の光も、全てが雪に覆われた世界では柔らかなフィルターをかけられたようにぼんやりとしている。そんな中、私はノアと一緒に、白く広がる小道を散歩していた。
足元には、車のタイヤがつけた2本の筋がうっすらと残っている。そこを軸にして、私とノアの足跡が新たな模様を刻んでいく。ノアの小さな足跡は、まるでリズムを刻む楽譜のように楽しげだ。その歩き方が特に面白い。真っ白な雪道で、ノアはどうにも歩きにくいらしい。ふわふわとした積雪の感触が不思議なのか、それとも単に遊び心が刺激されているのか。彼女はウサギのようにぴょんぴょんと飛び跳ねながら進んでいく。
雪の上に一瞬浮かぶノアの影も、なんだか軽やかだ。まるでその跳躍が喜びそのものに見える。ノアの動きが楽しそうだと、こちらまで笑顔になる。リードを持ちながら歩く私も、彼女のおかげで寒さを忘れてしまう。
降り積もった雪は、日常の風景を一変させる不思議な力を持っている。普段ならば通り過ぎるだけの細い道も、この雪に包まれると特別なものに見えてくる。静寂の中に響くノアの足音と私のブーツの音。それが時間さえも止めてしまったかのようなこの瞬間を彩る。
もう少し歩こう。気付けば、ノアも少し疲れてきたのか、歩幅をゆっくりと落としている。それでも、時折またぴょんと飛び跳ねる。何かに触発されたのか、それともただ雪に足を取られているのか。そんな小さな動き一つ一つが、特別な一夜をより鮮やかにしてくれる。だが明日の雪かけが大変になりそうだ。・・・・
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