体は、一つの部分ではなく、多くの部分から成っています。ったところで、体の一部でなくなるでしょうか。耳が、「わたしは目ではないから、体の一部ではない」と言ったところで、体の一部でなくなるでしょうか。もし体全体が目だったら、どこで聞きますか。もし全体が耳だったら、どこでにおいをかぎますか。そこで神は、御自分の望みのままに、体に一つ一つの部分を置かれたのです。すべてが一つの部分になってしまったら、どこに体というものがあるでしょう。だから、多くの部分があっても、一つの体なのです。(コリントの信徒への手紙一12章14-20節)
欠けていくことは、響き合うこと:命の素晴らしい仕組み
午前4時。まだ街が眠りに包まれている中、愛犬ノアとの散歩に出かけました。
まだ足取り軽く、元気いっぱいに歩く彼の姿を見ていると、ふと忘れそうになりますが、実は彼の目にはもう、光が届いていません。視力という、外の世界を知るための大きな窓が閉ざされてしまったノア。しかし、彼が立ち止まることはありません。目が見えない分、彼の鼻は研ぎ澄まされ、風の匂いや土の湿り気、目に見える世界以上に豊かな「情報の海」を自在に泳いでいるようです。
一つの機能が衰えれば、他の機能がそれを補い、支え合う。
この健気で完璧な仕組みを目の当たりにする時、私は創造主である神様の、あまりにも繊細で深い愛に満ちたデザインに、ただ畏敬の念を抱かずにはいられません。
人間の身体が辿る「変化」という名の旅
私たち人間もまた、同じ素晴らしい仕組みの中に生かされています。
医学的な視点から見ると、人間の身体の機能は一律に衰えるのではなく、それぞれが役割をバトンタッチするように変化していきます。
一般的に、人間の機能低下は以下のような順序で現れることが多いとされています。
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機能 |
変化の現れ方(個人差があります) |
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視覚 |
最も早く自覚される変化です。40代半ばからの調節力(ピント合わせ)の低下に始まり、色の識別能力や夜間の視力も徐々に変化します。(まさに今、わたしが経験していることです。) |
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聴覚 |
50代頃から高い音域が聞き取りにくくなります。これは内耳にある「有毛細胞」の自然な変化によるものです。(現在、礼拝に出席している高齢の教会員の中には、説教の声が聞き取りにくくなっている方もおられます。そのため、説教の言葉ができるだけしっかりと届くように、教会の音響機器の見直しを考えています。) |
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筋肉・骨 |
30代をピークに、運動不足やホルモンの影響で筋肉量や骨密度が緩やかに減少します(サルコペニアなど)。 |
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内臓・代謝 |
腎機能や肺活量などが徐々に低下しますが、これらは「予備能力」が大きいため、日常では気づきにくい部分です。 |
医学的には「老化」と呼ぶこの現象ですが、実は脳には**「代償作用」や「可塑性(かそせい)」**という驚くべき力が備わっています。
例えば、視覚情報が減ると、脳の他の部分が活性化し、聴覚や触覚を研ぎ澄ませて世界を再構築しようとします。身体の機能が一つ衰えることは、私たちの内なる別の感覚が「出番ですよ」と呼び起こされる合図でもあるのです。
「失う」のではない。新しい「目」で見るために。
私たちは、目に見える力、動ける若さ、敏捷な反応といった「できること」を失うことを恐れます。しかし、ノアの散歩を共にする時、神様が私たちに教えてくださるのは、全く別の景色です。
肉体の窓が一つ、また一つと閉じていくのは、私たちが「外側の華やかさ」に惑わされるのを止め、もっと深い「内なる真実」に目を開くためのプロセスなのかもしれません。
体力が衰えるからこそ、人の助けの温かさに気づける。
耳が遠くなるからこそ、心で聴く静かな調べに耳を澄ませる。
そして、自分の力の限界を知るからこそ、自分を超えた大きな存在の手に、すべてを委ねる平安を知るのです。
今日という日を歩むメッセージ:信仰・希望・愛
今、皆さんはご自身の、あるいは大切な方の「衰え」や「弱さ」に直面して、不安を感じておられるでしょうか。聖書は、私たちの外なる人は衰えても、内なる人は日々新しくされていると語っています。
今日、私たちが大切にしたいのは、機能を競うことではなく、**「信仰と希望と愛」**という、決して衰えることのない魂の三つの機能を働かせることです。
- 信仰:
たとえ目が見えなくても、確かな導き手がおられることを信じて、一歩を踏み出す力。
- 希望:
今、何かが失われたとしても、それは新しい豊かさへと繋がるプロセスであると期待する心。
- 愛:
互いの欠けた部分を補い合い、「あなたはそこにいるだけで尊い」と認め合う、最も優れた機能。
今日の一日、何かが「できない」と感じたなら、それは神様があなたの別の扉を開こうとしている合図です。ノアが鼻を高く上げ、見えない世界を信頼して歩むように。
私たちも、神様の愛という大きなヴェールに包まれていることを確信し、今日というかけがえのない一日を、優しく、そして力強く歩んでいきましょう。
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