青空の広がる一日、42.50kmのフルマラソンを走り抜いた後、ふと周囲を見渡すと、この日常の中にも豊かなドラマが息づいていることに気づかされる。それは、公園を行き交う人々、散歩中の犬、そして空高く羽ばたくハクチョウたちとの静かな交流の中にある。
道端でいつもリハビリに励む老人とすれ違うとき、私はその姿勢に強く心を打たれる。体の不自由さをものともせず、日々前向きに取り組むその努力。彼のひたむきな強さには、生命の尊さと力強さが凝縮されているように思える。また、自転車で犬の散歩をする姿を目にするたび、その人の暮らしの中に息づく律儀な日々が感じ取れる。さらに、杖をつきながら歩く高齢の女性には自然と「おはようございます」と声を掛けざるを得ない。彼女の歩みはゆっくりだが、そこには確かに一歩一歩をかみしめるような丁寧さがある。
そういった日常の延長線上で出会った風景の中で、特に心に残ったのがハクチョウたちの飛び立つ姿だった。青空に群れを成して高々と羽ばたくその姿を見つめながら、私は彼らが目指す先がどんな場所であるかを想像した。数千キロという長い旅路にもかかわらず、彼らは躊躇することなく飛び立つ。人間の生活において例え難いその自然の営みに、ただ感嘆し胸が熱くなる。
写真の中の瞬間。高層ビルを背景に、青空を力強く翔けるハクチョウの姿は、まるで「生きる力」を象徴しているように映る。それは、目標を掲げ前に進もうとするすべての命に贈られる祝福のようだ。そしてその姿は、人であれ動物であれ、限られた時間を懸命に生きようとする私たちの姿そのものを映し出している。
この朝の出来事を通して、私は改めて「命」の意味を見つめ直した。私たちはともすれば、日々の忙しさにかまけて、大事なことを見落としてしまう。しかし、こうして心を込めて周囲に目を向けると、小さな努力やその背後にある思いが浮かび上がり、それが確かに自分自身の心を支えてくれるのだ。今日という日を、そして共に生きる人々や自然を大切にしながら、私はまた走り続けたい。
生きるという行為は、まさに青空を羽ばたくハクチョウのようだ。翼を広げ、風を感じ、時に困難な旅路にも挑むことで、自分自身の空を越えていく。それが生命としての私たちの役割であり、喜びではないだろうか。青い空の下、私は今日という与えられた一日を一歩一歩、精一杯生きていく決意を新たにするのだった。
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