デジタル書庫 ―― 祈りの旅路

https://heyzine.com/flip-book/40adf6eb52.html https://heyzine.com/flip-book/e25ac741f2.html https://heyzine.com/flip-book/ce3de770c6.html

2026年9月18日金曜日

ノアの手術費100万円?(9月27日週報のコラム)

 


映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります(原題:Ruth & Alex)』の中に、深く心に残る場面があります。長年連れ添った老夫婦が、10年間共に過ごした愛犬の急病に直面するシーンです。命を救うための手術費用は1万ドル(約150万円)。「もう十分生きたのだから、自然の法則に委ねるべきだ」という思いと、「なんとしても手術を受けさせて助けたい」という思いの間で、二人の意見はぶつかり合います。しかし、かつて愛犬を初めて家に迎えた日の喜び、これまで共にしてきた温かい時間を思い出し、彼らは最終的に手術を受けさせる決断を下すのです。

 


この場面を観ながら、私は自分自身のことに置き換えて考えずにはいられませんでした。「もしも、私たちの愛犬ノアに同じ状況が起きたら、自分はどうするだろうか?」と。100万円という莫大な手術費。すぐには決断が出せないまま、しばらくの間、真剣に考え込みました。しかし、数日間自問自答の末に出た結論は「受けさせるべきだ」という確信でした。ノアは13歳になる老犬です。これから先、どれくらいの時間が残されているかは誰にもわかりません。それでも確かなことは、ノアは今、私たち家族にかけがえのない喜びと笑顔を与えてくれているという事実です。残された時間の長さや、いわゆる「費用対効果」などは問題ではありません。「今、ここで一緒に生きている事実」。私にとって大切なのは、ただそれだけだったのです。

 


この私の心に与えられた気づきは、そのまま、ご高齢の方が多く集う現代の教会が学ぶべき大切な真理につながっていると感じています。現代の社会は、常に「生産性」や「効率」、「将来どれだけの働きができるか」という基準で、人の価値を量ろうとする冷たさを

持っています。その世の基準に照らせば、年を重ねて弱さを覚えることはマイナスと捉えられがちです。しかし、キリストの体なる教会は違います。ご高齢の兄弟姉妹がそのお姿を通して私たちに教えてくださるのは、「何か有益な働きができるから価値がある(Doing)」のではなく、「ただそこにいるだけで尊い(Being)」という神様の愛の基本です。長年、祈りをもってこの教会を支えてこられた方々が、今日この日、同じ礼拝堂に座り、微笑みかけてくださる。ただそれだけで、私たちにどれほどの安らぎと喜びを与えてくれていることでしょうか。残された時間の長さや、物理的な活動量ではなく、「今、ここで一緒に主を礼拝し、生きている事実」こそが、教会にとって計り知れない宝なのです。



「今ここで一緒に生きている」。これ以上の恵みはありません。私たち仙台長町教会も、世の冷たい基準から離れ、ただ「共に存在することの喜び」を分かち合える神の家族でありたいと切に願います。今日も、互いの存在を心から喜び合い、主の愛の中で共に歩んでまいりましょう。

 


すぐに答えを出せなかったことで、ノアには申し訳ない思いが残りました。しばらく罪責感にとらわれる時もありましたが、最終的には悔いのない決断が与えられたことを感謝しています。

0 件のコメント:

コメントを投稿